2008年7月22日の放送

■本日の話題その1  森林が吸収するCO2の量はどうやって計算する?
 ファウラ最新号(2008夏号=洞爺湖・有珠山特集)に掲載されている札幌振興公社の広告「クマゲラ棲む藻岩山〜大切な自然を、みんなで守ろう」には、藻岩山の森が吸収するCO2について、次のように書かれています。 「藻岩山の原始林は、成熟した森林が生育しており、年間約600トンのCO2を吸収、11万5000トンのCO2をたくわえています。(後略)」
 最近、このような、森林がどれだけのCO2を吸収するか、という表現をいろいろな場面でよく見るようになりました。樹種や樹齢などによってCO2吸収量は異なりますので、ある森全体のCO2固定量を正確に算出することはかなり困難です。上記の札幌振興公社の広告の場合は、北海道の「森林機能評価基準」に基づき算出されており、正確な森林簿から樹種・樹齢・面積・落葉量などの条件を積算する綿密な計算がされていますが、他に、周辺環境と当該森林内のCO2濃度を測定してその差から推定する方法もよく使われているそうです。大気中のCO2濃度が上がれば樹木の光合成能力は一時的に向上するもののすぐ頭打ちとなってしまうことも報告されており、高濃度CO2の条件下では虫害が増えて植物の光合成に悪影響が及ぶことや、さらに地表の温度がわずかに上がっただけでも土壌微生物の呼吸によって排出されるCO2量が増えることなど、様々な条件が複雑に入り混じっていますから、単純にCO2の吸収量を予測することは非常に難しいもののようです。

札幌振興公社広告

札幌振興公社・広告(ファウラ夏号に掲載)


■本日の話題その2  コウモリの飛翔スピードを測定する
 ファウラ夏号から、連載「蝙蝠王国北海道」(中島宏章)の内容をご紹介します。
 今号ではコウモリの飛翔速度を、写真を使って推測するというテーマです。執筆者の中島氏は、一回の露出で、1秒間に12回ストロボを発光させた多重露光を行い、その間に進んだ距離からヒメホオヒゲコウモリの飛翔速度を計算してみました。結果は、時速8.3kmと出て、意外と遅いと思われましたが、何度か同様にトライして、19.5kmで飛んでいることがわかったカットもあったそうです。いくつかの海外の研究論文を見ても概ね同様の結果が出ていたそうです。

蝙蝠王国

ファウラ夏号「蝙蝠王国北海道 第6回 コウモリの飛翔スピードを測る」(中島宏章)


■本日の話題その3  湖の幻獣
 ファウラの人気連載のひとつ「ファウラ博物誌」(河井大輔)は、今回は「湖の幻獣」です。
 宝暦13年(1763年)、支笏湖で木材運搬中の飛騨屋久兵衛の手代・善左ェ門が見たという怪獣の話です。湖から首の長さ3メートル、頭頂部の大きさが畳1畳もあるという怪物が突如現れたというのですからにわかには信じ難い話です。真偽のほどはともかく、私はまず江戸時代中期に和人がこのように蝦夷地に深く入り込み商売していたということが驚きでした。恥ずかしながら、そういう歴史を私は知りませんでした。北海道開拓の歴史は幕末頃からのイメージが強く、それ以前のことをほとんど知らないのです。
 飛騨屋久兵衛は、江戸時代中期に4代にわたって蝦夷地開拓に携わった商人だそうです。初代は元禄13年(1700年)に青森県下北さらに元禄15年に北海道松前を拠点として木材業・海産物取引を行い、最盛期には江戸を代表する豪商のひとりとされたこともある人物だそうです。
 さて、怪獣が現れた頃の支笏湖は、文献によれば「東西蝦夷地に比類なきあやしき沼」と言われていたといいます。そんな山中の恐ろしげな湖だからこそ怪獣が生息していたのでしょうか?
 その怪物の正体は……。ファウラ夏号68〜69ページをご覧下さい。

ファウラ博物誌17回

ファウラ夏号「ファウラ博物誌 第17回 湖の幻獣」(河井大輔)


■インフォメーション
・ 大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2008夏号(特集:洞爺湖・有珠山)は、ただいま道内の書店などで発売中です。
・ ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。

■今日ON AIRした音楽
王様
・ 高速道路の星
・ 夏の憂うつ
・ 茶色いお砂糖
・ 移民の歌
・ 湖上の煙


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年7月15日の放送

■本日の話題その1  コンビニの24時間営業の是非について
 埼玉県、神奈川県などが地球温暖化対策の一環として、コンビニの24時間営業を自粛するよう求めることが話題になっています。これに対してコンビニの業界団体が反発しており、期せずして終夜営業のあり方の是非を考えさせられるようになってきました。
 私は、コンビニ業界は常に世の中の新しい動きを率先して作り出してきた業界であると思っています。かつて、夜型生活という新しいライフスタイルのニーズを開発したのは他ならぬコンビニでしょう。今、地球が未曾有の危機を迎えている時代に取り組むべき最も新しい動きは、いかにCO2を出さないライフスタイルを作り上げるかといことに尽きると思います。そういう点で、率先して新しい価値観を実践することが期待されるコンビニ業界のこの消極的態度には失望しました。表向きは「地球温暖化対策を考えています」的なことを言いながら、実際はやはり儲けることが優先であることを露呈したなという感じです。コンビニの本音が透けて見える気がします。
 行政から言われるまでもなく、率先して終夜営業はやめます!宣言を出すくらいのことをしてほしかった。それが、終夜営業をやめてもたいしてCO2削減にならないだとか、防犯上の利点もあるだとか、終夜営業を続けたいための言い訳にしか聞こえない理屈で反発しているように見えます。社会に対する影響力の大きい業界であるだけに、そういう世論を喚起するためにも率先して地球温暖化対策に貢献してほしいものだと思います。以上はあくまで私の個人的意見ですが、皆さんはどう思われますか?

■本日の話題その2  昭和新山秘話
 北海道の地質分野唯一の特別天然記念物として、昭和新山は今はその学術的価値も一般に広く知られていますが、その影に三松正夫さんという在野の研究者の奮闘ぶりがありました。戦時中の物資乏しい中で一郵便局長にすぎなかった三松さんが「ミマツダイヤグラム」と呼ばれる優れた記録を残せたのはなぜか、その人となりをファウラ夏号「洞爺湖・有珠山特集」に詳述しています。
 昭和新山が隆起の兆候を示した昭和19年5月から隆起を停止する20年9月まで、三松さんは一日も欠かさず定点観測をして記録を残し続けました。観測器具も十分にない中で身の回りの品を工夫して使ったり、満足な履物もない時代で足を火傷だらけにしての観測だったり、何よりも噴火という天変地異を隠したい軍部の妨害にもめげず観測し続けた強靭な精神力・目的意識に感嘆させられます。ミマツダイヤグラムが高く評価されているのは科学的に正しい方法で観測された記録であり、従って昭和新山は生成の過程が全て記録されている世界でも唯一のドーム型火山なのです。
 昭和新山誕生の記録だけでなく、この山をその後どう守ろうとしたかなど、三末正夫さんの奮闘ぶりを番組ではファウラから題材を拾ってお話しました。詳しくは今発売中のファウラ夏号「洞爺湖・有珠山特集」をお読み下さい。画家としても優れた作品を残した三松さんが描いた昭和新山の迫力ある日本画も見ものです。

三松正夫

ファウラ2008夏号「三松正夫の生涯〜火山とともに歩んだナチュラリスト」
 
■インフォメーション
・ 大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2008夏号(特集:洞爺湖・有珠山)は、ただいま道内の書店などで発売中です。
・ ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。

■今日ON AIRした音楽
スティービー・ワンダー
・ STAY GOLD ステイ・ゴールド
・ I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU 心の愛
・ PART-TIME LOVER パートタイム・ラヴァー
・ A PLACE IN THE SUN 太陽の当たる場所
・ OVERJOYED オーバージョイド


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年7月8日放送

■今日の話題その1 洞爺湖の夏の気候
 洞爺湖サミット開催中です。昨日、各国の首脳が洞爺湖入りする際、濃霧のため千歳空港からのヘリコプターが飛べず車での移動になったと報じられました。じつは、この事態を予言するかのような記事がファウラ夏号に掲載されていました。「華ちゃんのお天気レクチャー」です。気象予報士の西沢華子さんの連載記事ですが、夏号洞爺湖周辺の7月の気候がいかに霧が多いかということを過去のデータから解説していました。
 それによると、7月の洞爺湖の日照時間は1・2月に次いで少ないそうです。夏ですから日の長さが15時間近くあることを考えるとこれは驚くべきことだと西沢さんは書いています。統計上、昼の460時間のうち125時間(27%)しか晴れないそうで、つまり3分の2は晴れ間が見えないというわけです。ですから、もともとこの日程では各国首脳が洞爺湖入りする日にヘリコプターが飛べない可能性の方が高かったわけです。
 洞爺湖の霧の原因は内浦湾の水温が低いためで、南からの風が冷やされて霧になるというものです。北海道の太平洋側特有の夏霧です。しかし、霧の厚さが600m以下であれば、標高625mのサミット会場からは洞爺湖を包む雲海に見えるわけで、そうなったら幻想的な風景が広がりサミットにふさわしいのでは、と西沢さんは結んでいます。

お天気レクチャー
 ファウラ夏号・華ちゃんのお天気レクチャー「北の湘南」

■今日の話題その2 有珠山に見る火山学・火山防災の歴史
 ファウラ夏号の洞爺湖・有珠山特集の中から、北大名誉教授・岡田弘氏による「有珠山からのメッセージ〜火山学・火山防災の歴史」をご紹介します。この記事は有珠山の主治医と呼ばれる岡田氏のインタビュー企画で、明治時代以降のわが国の火山学・火山防災の歴史を語っていただきました。番組ではそのすべてを紹介することは時間的に難しいことから、聴取者の皆様にも記憶に残っている方も多いと思われる直近の2回の噴火についてお話しました。
 1977年の噴火は、火山観測史上に大きな足跡を残した噴火でした。テレメーターによる計測や地殻変動にレーザー光線が使われた最初の噴火活動だったのです。その結果、噴火活動の終息を明快に特定できるようになったそうです。そもそも噴火時の住民避難は、避難した人をいつ帰すかが大変です。それが正確にできるようになった噴火でした。
 2000年の噴火は、ハザードマップなどの活用もできるようになり、災害対応の意識が住民にも浸透した結果、一人の死傷者も出さずにすみました。77年の時には温泉街の住民が100人ほど避難命令に従わずに居残ったそうですが、2000年噴火の時は一人も残らず避難したといいます。災害対処の観点から、岡田氏は時代が変わったことを感じたそうです。

有珠山からのメッセージ

 ファウラ夏号「有珠山からのメッセージ〜火山学・火山防災の歴史」

■本日ON AIR した音楽
 岡本真夜
・ 「サヨナラ」
・ 「大丈夫だよ」
・ 「宝物」
・ 「想い出にできない」
・ 「TOMORROW」


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年7月1日の放送内容

■本日の話題その1  火山灰に覆われてもまた森ができる〜有珠山に見る植生の遷移
 北海道自然雑誌ファウラの夏号「洞爺湖・有珠山」特集の中から興味深い内容をひとつご紹介します。火山活動盛んな有珠山洞爺湖地域で、どうやって自然が再生するのかというお話です。確かに、有珠山は数十年ごとに噴火を繰り返しているわけですから、周囲の植生はその度に大きなダメージを受けているはずです。しかし、実際には意外と豊かな森が洞爺湖周辺に広がっているように見えます。昭和新山は赤茶けた地肌を見せていますが、明治時代に噴火した明治新山などは既に深い緑に覆われています。
 噴火の後、植生は一般的には、?地衣類・コケ類→?一年生草本→?多年生草本→?低木→?陽樹→?陰樹という順に徐々に置き換わり(遷移)、陰樹林をもって安定した状態(極相)となります。
 しかし、有珠山の噴火は噴火降灰物(テフラ)性といわれ、溶岩ではなく火山灰や軽石のような噴出物が降り積もります。こうした噴出物は風雪雨によって流されてしまうため、コケなどもなかなか定着できません。また一年生草本は基本的にもともとこの地域にないものです。そこで、上記の?と?が実現せず、なんと?の多年生植物から再生が始まるそうです。オオイタドリのような大型の根系をよく発達させる多年生植物が不安定土壌でも定着がよく、1〜2メートルほどの厚みの火山灰の下からたくましく地上に芽を出し復活するのだそうです。
 しかし、次の噴火までの数十年間ではさすがに極相にまで植生が遷移していくだけの時間はないのでしょう。洞爺湖周辺ではミズナラ・エゾイタヤ・シナノキ林といった極相林はほとんど見られません。それでも、噴火による壊滅的なダメージから一見緑の大地に見えるところまで自然はその都度再生していることを知ると、自然のたくましさに感動を覚えます。洞爺湖・有珠山は破壊と再生を繰り返している大地なのです。
 なお、上記の内容は、ファウラ2008夏号34〜35ページ「火山灰の下から発芽するタネ」(執筆・露崎史朗氏=北海道大学大学院地球環境科学院准教授・植物群集生態学)から題材を取り書き下ろしました。より詳しいことは是非ファウラをご参照ください。

ファウラ2008夏号(20号)「火山灰の下から発芽するタネ」

画像:ファウラ2008夏号(20号)「火山灰の下から発芽するタネ」


■本日の話題その2  コアジサシの繁殖にミツバチ効果はあるか
 本日の野鳥の話題は、東京が舞台です。
 少し前の新聞報道によると、東京の大田区にあるコアジサシのコロニー(集団繁殖地)ではカラスが卵やヒナを襲う例が多く、昨年も300個の卵と160羽のヒナがその犠牲になったとのこと。これに心を痛めた人々が今年はコロニーにミツバチの巣箱を設置してカラスを追い払う作戦を展開しているそうです。
 ミツバチは黒い色を標的にして襲う習性があるため黒いカラスはハチに狙われるそうで、実際にミツバチ巣箱を設置した場所でカラスがいなくなった例があるそうです。白いコアジサシはハチには襲われないので大丈夫。果たして、思い通りの効果はあったのでしょうか?今年のコアジサシの繁殖結果が知りたいところです。
 ところで、ハチが黒い色を狙うことはスズメバチにも共通です。私たちも野外活動の際はくれぐれも黒い帽子・服装は避け、白など明るい色のものにしましょう。

■インフォメーション
・ 大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2008夏号(特集:洞爺湖・有珠山)は、ただいま道内の書店などで発売中です。
・ ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。
・ 大橋弘一写真展「クマゲラ棲む藻岩山」は7/13まで、もいわ山山頂ギャラリーで開催中。
・ 全日空(ANA)機内誌「翼の王国」に、ただいま大橋弘一が「洞爺湖ノート」を短期連載中です。


■今日ON AIRした音楽
エア・サプライ
・ Even the nights are better さよならロンリー・ラヴ
・ The one that you are シーサイド・ラヴ
・ Lost in love ロスト・イン・ラヴ
・ Two less lonely people 夜明けのふたり
・ Here I am ヒア・アイ・アム


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

HOME |

Calendar

PREV≪  2008-07  ≫NEXT
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

Advertisements


野鳥写真家&自然雑誌faura編集長の大橋弘一が自然や環境について語ります。FMアップルの番組「不思議いっぱいネイチャーワールド」の内容を伝えるブログでしたが、放送休止中の今もこのブログは継続します。