2008年12月23日の放送


■本日の話題その1     ジュンク堂札幌店OPEN
 あのジュンク堂書店が、ついに札幌に進出! この20日にオープンしました。まさに札幌の、北海道の出版界にとって待ちに待った日がついに訪れました。特に、私の分野(自然科学)にとっては、本の品揃えの充実度そしてその的確な本の配置で全国のジュンク堂各店のすばらしさはつとに有名であり、大型書店の出展が相次ぐ札幌でも、ジュンク堂さんの進出は他書店に大きな影響を与える”事件”となること請け合いです。私は池袋店の充実ぶりを上京するたびにうらやましく思っていましたから、真にうれしい出来事です。
 ジュンク堂札幌店では自然科学書を含む「理工書」のフロアは地下一階で、エスカレーターを降りたところにある書棚には特設の「大橋弘一の野鳥の本&自然雑誌faura」コーナーができており、私の著書や写真提供の多い図鑑類などがたくさん平積みされています。fauraもバックナンバーまで全部揃っており、さすがジュンク堂さんらしい充実した品揃えには感心させられます。ただそのコーナーはエスカレーターを降りた場所の裏側ですので、ちょっと目立ちにくい位置なのが残念です。
 ともあれ、ファウラのバックナンバーや私の古い著書などを購入検討したいという方は、是非ジュンク堂札幌店地下1階をのぞいてみてください。


■本日の話題その2   子供にケイタイを持たせたくない理由
 大阪府の橋下知事が公立小中学校での携帯電話持込み禁止の方針を打ち出してから、子供のケイタイについての議論があちこちで盛んです。つい先日の北海道新聞でも「対論」のコーナーで橋下知事の方針に賛成の意見と反対の意見が掲載されていました。それを読みますと、反対意見の方も携帯電話の害についての認識には大差なく、中3での所持率70%にもなった今日まで放っておいて突然禁止では混乱する、などという論調でした。公衆電話の再整備が必要だとか、禁止する前にやるべきことがある、との指摘が中心でした。つまり、ケイタイによって青少年が危険にさらされているという「ケイタイの害」は誰しもが認めることのようです。ここでいう危険とは、インターネットによって多くの子供たちが犯罪に巻き込まれる危険のことです。
 しかし、私は、そういう危険性に加えて、携帯電話の端末や基地局から出る電磁波の害という、もうひとつの害についての指摘が新聞やテレビ報道であまりにも少ないことが不思議でなりません。電磁波の害は大人にも十分危険ですが、細胞分裂が盛んな子供たちには、年齢が小さければ小さいほど危険性は深刻になります。電磁波によって悩や神経細胞が損傷される可能性が高く、そういう健康被害のために、すでにロシアでは16歳未満の子供の携帯電話の使用禁止を法律で定めており、オーストリア、イギリス、カナダなどでも医師会なり行政なりが健康被害回避のために携帯は使用禁止にすべきという主張がされています。詳しくはファウラ18号19号の「21世紀の環境汚染」に加藤やすこ氏が執筆されていますので、是非読んでみてください。
 ケイタイによって犯罪に巻き込まれる危険性とともに、健康も害されるリスクを、子供たちと、子供を持つ親たちにもっともっと広く知ってもらいたいものだと思います。危険性が証明されるまで危険なものを放置する、「予防原則」が生かされない社会には大きな疑問を感じます。

faura18号P68〜P69

携帯電話の電磁波の害について詳述しているファウラ18号「21世紀の環境汚染」


■本日の話題その3   「散歩で楽しむ野鳥の本」のスズガモの項
 私の新著、11月5日に発売になった「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊) から、今週はスズガモをご紹介させていただきました。
 スズガモのポイントは、大きな群れを作る海のカモという点。海のカモ(潜水採餌カモ)というのが結構種類が多いことなど、一般にはあまり馴染み深くないカモ類の話題をお話ししました。
スズガモに関しては本当に鈴の音のように聞こえる羽音(大群で飛行する時のはばたき音)が和名のいわれなので、その独独の羽音を録音で聞いていただきました。冬は海のカモ類がたくさん楽しめる季節。これからの寒さ厳しい時期、カモ観察のために港湾などにぜひお出かけください。

散歩で楽しむ野鳥の本スズガモ

大橋弘一の新著「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊・税込み1,890円)のスズガモのページ



■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009冬号(特集:北国の冬を生きる〜珠玉のネイチャーフォト30選)、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/

・なお、次週(12月30日)は年末特別番組のため「不思議いっぱいネイチャーワールド」はお
休みとなります。従って、当プログも一週間休載し、新年は1月6日放送分からの掲載となりますが、あらかじめご了承ください。皆様、どうぞ良い新年をお迎えください。
    

■今日ON AIRした音楽
       カーペンターズ
・青春の輝き
・ふたりの誓い
・トップ・オブ・ザ・ワールド
・遥かなる影
・二人のラウ・ソング

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年12月16日の放送

■本日の話題その1 スズキがWRCから撤退のニュース
 今朝の新聞報道によりますと、スズキ自動車が来年度から世界ラリー選手権(WRC)への参戦を休止すると発表したそうです。休止とは言っても再開時期は未定でチームの解散も含めての検討とのことですから、事実上はまさに「撤退」。理由はもちろん経費の削減です。WRC参戦を取り止めることで数十億円規模の節約になるとか。急激な景気の悪化によってこういう決断をせざるをえないというのが本音でしょうけれども、今後は環境対策車の開発などに経営資源を振り向けるとのことですから、自然のこと・環境のことを最優先したいと考える私たちにとってはウェルカムなことです。
 そもそもWRCといえば悪名高き「環境破壊行為」としてつとに有名で、十勝で数年にわたって開催されていましたが、希少な野生生物の棲みかを破壊する愚行に眉をひそめていた人も多いはず。そのせいか、今年は十勝から道央圏に開催地を移しましたが、その結果(もちろん環境破壊の)はどうだったのでしょうか。十勝でのWBCによる環境破壊行為についてはファウラ6号(2004年冬号)の「時代錯誤の林道ラリー」に詳しいので、興味ある方は是非読んでみてください。
 スズキに続いて、放送後にはスバル(富士重工)からも同様の発表があり、また少し前にはホンダがF-1から撤退とのニュースもありました。どうやら、モータースポーツの世界も大きな転換点を向かえている実感があります。
 こうしたラリーやレースといったモータースポーツが自動車の最先端技術を切り開いてきた側面は否定できません。私たちが今、快適なクルマに乗れるのはモータースポーツのお陰でもあります。しかし、現代のクルマは相当完成度が高くなり、スピードや馬力などの基本性能についてはもう頂点にまで上り詰めた感があります。その観点からは、高性能車を作るための試金石としてのモータースポーツは既に役目を終えたとも思われるのです。モータースポーツ自体がもはや時代遅れと言っても過言ではないでしょう。世界的な景気悪化が期せずしてモータースポーツを駆逐することになっていく格好です。 
 言うまでもなく、今、クルマに求められているのはより高い環境性能であり、それはきっとモータースポーツによって開発されていくようなものではないのでしょう。

faura06号表紙

「時代錯誤の林道ラリー」が掲載されたファウラ2004年冬号(絶版・入手できません)


■本日の話題その2 ファウラ2008冬号、出ました!
 昨日、12日15日、予定どおり2008冬号が発売開始となりました。書店の店頭には2〜3日前から並んでいますので、もうお求めいただいた方もいらっしゃることと思います。
 今号の特集は「北国の冬を生きる〜珠玉のネイチャーフォト30選」です。ファウラ始まって以来の写真特集であり、そのページを構成するネイチャーフォトの力作30点(表紙やトビラを含む)には、プロの作品だけでなく一般公募によるアマチュア写真家の方々の作品も含まれています。編集部に寄せられた作品数は全部で400点余。その中から選ばれた30点の作品は、じつに見応えがあります。
 ネイチャーフォトは、アマチュアの方も千載一遇のシャッターチャンスに恵まれればプロ顔負けの写真が撮れる世界です。今回の公募作の中にはまさにそういうことを感じさせてくれる作品が散見されます。一方、プロからは、写真のプロフェッショナルであると同時に自然についてのプロでもあることをまざまざと見せ付けてくれる作品群が寄せられました。プロはどういう視点で自然を見ているかということを、掲載作品から感じていただければ幸いです。
 編集の立場・制作の側からは、とても満足のいく特集になりました。作品をお寄せいただきました多くの皆様がたに、この場を借りて改めて御礼申し上げます。見る立場すなわち読者の皆様の評価はいかがでしょうか。

faura22号表紙

ファウラ2008年冬号(通巻第22号)


■本日の話題その3 「散歩で楽しむ野鳥の本」よりコガモを紹介
 私の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」から、今週はコガモをご紹介しました。「散歩で楽しむ野鳥の本」は、大きなサイズで掲載された野鳥写真と、図鑑らしからぬエッセイ調の解説文が特徴ですが、コガモについては、その美しい鳴き声をテーマにして書きました。
 コガモって、どんな声だったっけ?と思われるバードウォッチング初心者の皆さん、是非この本を見てみてください。野鳥観察の新しい魅力がきっと発見できますよ。

散歩で楽しむ野鳥の本コガモ

「散歩で楽しむ野鳥の本」のコガモのページ


■インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009冬号(特集:北国の冬を生きる)、ただいま好評発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めはファウラ公式販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/



■今日ON AIRした音楽
  エリック・カルメン/ラズベリーズ
・ 恋にノータッチ Never gonna fall in love again
・ レッツ・プリテンド
・ 明日を生きよう I wanna be with you
・ オール・バイ・マイセルフ
・ ハングリー・アイズ


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年12月9日の放送

■本日の話題その1     アメリカではサケとアシカの保護論争
 先般の新聞報道からの話題です。アメリカ・オレゴン州のコロンビア川では、遡上するサケ科魚類をアシカが捕食し、どちらの保護が優先されるべきか論争になっているとのことです。サケを狙ってのこととは言え、アシカが川にまで遡ってくるとは驚きです。それはさておき、漁業者からの訴えにより、保護動物であるアシカの捕殺・駆除を行政が認めたことが騒動の発端だったようです。当局は川の下流域で年間85頭のアシカ駆除を許可し、これに動物愛護団体が反発して論争になっているとのこと。アシカもサケも、アメリカでは絶滅危惧種保護法などによって保護されているそうです。
 この新聞報道に、「いずこも同じ」との感想を抱いた方は多いことでしょう。北海道におけるトドによる食害と漁業者保護の論争と全く同じ話です。アシカもトドも絶滅が危惧される海獣であること、漁業者や漁業資源をどう守っていくかという要素、同じ構造です。平たく言えば、人間と海獣とが減ってきた魚を取り合っているということです。そして、その取り合いはもう圧倒的に人間の勝利がはっきりしており、しかも敗者である海獣は死に絶えてしまう危機にあるので、それを守ろうという最低限のギリギリの線をめぐる人間同士の意見のぶつかり合いであるということ。これは、つきつめれば自然保護だけでなく、人間社会の問題、漁業者の人権の問題でもあり、解決は大変困難です。自然を守ろうとする時、最後は人権との争いになることを物語っています。


■本日の話題その2   冬の季語「海雀」の話
 冬鳥といえば、カモ類やハクチョウ類を思い浮かべる方が多いでしょう。ツグミやアトリ科の小鳥なども典型的な冬鳥です。俳句の世界では、これらに加えて「海雀」も冬鳥の代表格です。忘れられがちですがウミスズメ類は、全国的には冬鳥として扱われています。今日二つ目の話題として、このウミスズメを取り上げました。
 ウミスズメ類は、全長15〜43cmくらいの小型か中型の海鳥です。黒・白系の色のものが多く、日本近海で見られるのは14種。北海道でわずかに繁殖するウミガラス(俗称オロロン鳥)やエトピリカがこの仲間では知名度の高い種と言えます。最も小さいコウミスズメなどはほぼスズメくらいの大きさしかない”小鳥”であり、こんな小さな体で大海原に棲むかと思うとその健気さに感じ入ってしまいます。
 この仲間を図鑑でいろいろ見ていると面白いことに気づきます。それは分布図です。普通、冬鳥というものは北半球では繁殖地よりも南の地域で越冬します。しかし、ウミスズメの仲間は繁殖地よりも越冬地が南にあるとは限りません。日本固有種のカンムリウミスズメなどその典型で、宮崎県などの繁殖地で夏を過ごした後、冬には日本列島各地の海に棲みかを広げます。ですから北海道でその姿を見ることができるのは冬季です。仮に宮崎県で繁殖した個体が北海道沖にまで来て越冬しているとすれば、繁殖地よりも越冬地が北にあることになってしまいます。見方を変えると、本来日本各地が彼らの生息分布であり、そのエリアの中で繁殖に適した場所で繁殖するということなのかもしれません。だとすれば、ウミスズメ類は冬鳥というより留鳥として扱った方が正しいということになるのではないでしょうか。



■本日の話題その3   「散歩で楽しむ野鳥の本」のヒドリガモの項
 私の新著、11月5日に発売になった「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊) から、今週はヒドリガモをご紹介させていただきました。ポイントは、頭の独特な形。それに美しい声。そのいずれも、バードウォッチャーにはつとに知られた有名な話ですが、一般の方には意外と知られていません。詳しく知りたい方には頭の形については是非「散歩で楽しむ野鳥の本」をご参照ください。声は…季節ですから、是非、お近くの水辺に出かけて直接ご自身の耳で確かめてください。カモ見の楽しみの一端がきっとわかりますよ。

散歩で楽しむ野鳥の本ヒドリガモ

大橋弘一の新著「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊・税込み1,890円)のヒドリガモのページ



■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
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・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009冬号(特集:サケ)、まもなく道内の書店などで発売になります。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
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・ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。

■今日ON AIRした音楽
       織田哲郎
・いつまでも変わらぬ愛を
・揺れる想い
・世界中の誰よりきっと
・SUMMER DREAM

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年12月2日の放送

■本日の話題その1 セイヨウオオマルハナバチが知床岬にまで!
 害悪の大きな外来昆虫・セイヨウオオマルハナバチが今夏の調査で知床岬にまで進出していることがわかったと、先ごろ新聞報道されました。
 セイヨウオオマルハナバチの害についてはこの番組でも何度となくご紹介していますが、一昨年から大雪山系の高標高地でも見つかり、自然環境へ与えるダメージの大きさが懸念されていました。今回は、知床国立公園内外で今夏104匹が捕獲され、うち2匹は知床岬で見つかったものだということです。人為的な理由による外来種の進出が、北海道の自然をこうしてどんどん蝕んでいくことに大きな危機感を覚えます。
 知床岬は知床国立公園の中でも特別保護地区であり、人の立ち入りも基本的にできない場所です。こうした自然の聖域にまで外来種がもたらされると、「生物多様性」という知床の自然の魅力が大きくダメージを受ける可能性があります。知床が世界遺産に登録されたのも、陸と海とのつながりによる豊かな生物多様性が決め手となりました。言わばその知床の最も大切な部分をこの外来バチが台無しにしてしまう可能性があるわけです。
 新聞報道によりますと、研究者は「現状把握よりも、とにかく駆除を!」と主張しているとか。知床の自然がまた大きな脅威にさらされています。

faura11号記事

セイヨウオオマルハナバチの害はファウラでも紹介された(2006春号=11号)


■本日の話題その2 冬の楽しみ・バードテーブル
 さて、札幌市の公式観光サイト「ようこそさっぽろ」に私が連載している「札幌の自然を楽しむ」は、今月は「冬だ!バードテーブルだ!」と題して身近な野鳥に親しむ餌台の魅力をご紹介しています。その冒頭をちょっと覗いてみると…
 「冬は野鳥観察を始めるのに最適の季節です。意外に思われるかもしれませんが、冬は最も野鳥が観察しやすい季節なのです。札幌の冬は、ちょっとした工夫で小鳥たちが庭先にやって来るようになり、手の届くような至近距離から可愛らしいその姿が見られる季節です。地面が雪に覆われてしまう冬、野生動物は食物を確保することが困難になります。鳥も例外ではなく、十分な食物が得られなければこの厳しい季節を乗り越えることができません。しかし鳥は飛ぶことができます。他の季節以上に食物を探すために飛び回り、それこそ鵜の目鷹の目でいつも食べ物を探しています。
 冬のバードウォッチングはこのことをうまく利用し、餌となる食べ物を提供してやることで野鳥を身近に呼び寄せ、その代わり私たちは愛らしい姿をじっくり見させてもおうという趣向になります。上記の"工夫"とは、具体的には餌付けのことであり、バードテーブル(餌台)を設置して呼びたい鳥の種類に応じた餌を用意すれば、「野鳥の来る庭」が実現します。…(後略)…」
 「札幌の自然を楽しむ」はまだまだ続きますので、興味のある方は是非見てみてください。居ながらにして野鳥の姿が楽しめるのは本当に楽しいものです。
 しかし一方では、バードテーブルも野生動物への餌付けには違いなく、野生動物への餌付けに批判的な意見があることもまた事実です。野生動物の生態を狂わせる可能性などがその大きな理由です。ただ、自然の中に生きる実物の野鳥を間近に見ることは大きな感動を呼ぶものであり、自然の営みを知るためのきっかけとしてとても有意義なものと思います。動物園で檻の中の動物を見るのとは全然違うでしょう。特に子供には環境教育、情操教育の両面からの意義は大きいものと思います。公園などでカラスやドバトに餌をやるという、生態系を全く顧みない迷惑行動とは次元の違うものと考えるべきだと思います。

「ようこそさっぽろ」内「札幌の自然を楽しむ」12月
http://www.welcome.city.sapporo.jp/feature/ohashi/december.html

オオマシコ

バードテーブルの楽しみ(写真の鳥はオオマシコ)


■本日の話題その3 「散歩で楽しむ野鳥の本」よりシマアジ、トモエガモを紹介
 私の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」から、このところ毎週のようにカモ類を順次ご紹介していますが、今週はシマアジとトモエガモを取り上げました。
 シマアジとは、変わった名前のカモです(11月29日にFMノースウェーブの番組に出演した時にも話題になりました)が、その語源は…?
 是非「散歩で楽しむ野鳥の本」を見てみてください。もしくは2003年の私の著書「鳥の名前」(東京書籍)にも書かれています。
 生態的にも日本のカモ類中唯一の旅鳥という珍しい点のあるシマアジ。それから激減しているRDBの絶滅危惧種にしていされながらも何も保護策の講じられていないトモエガモ。こういう鳥についても是非たくさんの方に知ってもらいたいと思います。

散歩で楽しむ野鳥の本トモエガモ

「散歩で楽しむ野鳥の本」のシマアジ・トモエガモのページ


■インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009冬号(特集:北国の冬を生きる)、まもなく道内の書店などで発売になります(12/15発行発売)。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/



■今日ON AIRした音楽
  シカゴ
・ 愛ある別れ If you leave me now
・ 長い夜
・ 朝もやの二人 Baby, what a big surprise
・ 素直になれなくて Hard to say I’m sorry
・ 君こそすべて You’re the inspiration


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2008年11月25日の放送

■本日の話題その1     無着陸飛行の世界記録? オオソリハシシギ
 先般、新聞等で報道されていた“渡り鳥の無着陸飛行距離に新記録”を興味深く感じています。
 アメリカの研究者によるオオソリハシシギの秋の渡りの追跡記録でわかったことで、アラスカで繁殖する個体群が越冬地であるニュー ジーランド北部やオーストラリア東部まで最長1万1千km余りを無着陸で飛んでいたということでした。無着陸の飛行距離は短い個体でも7000〜8000kmとのこと。その間、6日から9日間かけ、数千mの高さを、上昇気流などをうまく使って飛んでいるようです。
 出発地のアラスカでは十分に食物を摂り、太って出発、しかしさすがに長距離飛行で体力を使い果たし、越冬地に到着した時には体重は半分に減っていたといいます。アラスカからニュージーランドへの飛行ルートはほとんど直線で、大きな陸地はなく、ハワイ諸島など小規模な島はあってもそこへ降り立つことなく飛び続けることがわかったわけです。
 それにしても、数日間以上飛び続ける鳥の能力には驚かされます。その間飲まず食わずではありますが、睡眠はどうしているのでしょう? 9日間も眠らずに飛んでいるのでしょうか? それとも飛びながら眠るのでしょうか?
 鳥の渡りは、大変にロマンを感じる不思議がいっぱいありますが、今回の発見にも、またひとつその思いを強くしました。シギの仲間は北極圏で繁殖し南半球まで渡る種類が多く、オオソリハシシギ同様の飛行は他の種類でもあることだと想像されます。
 ちなみに、新聞記事によれば、今回の調査対象となったオオソリハシシギは、春の渡りではユーラシア大陸寄りのルートを取り、度々陸地に降り立ってエネルギーを補給しながら時間をかけて繁殖地に向かうそうです。これは繁殖地で繁殖を有利に行うためと考えられます。

オオハシソリハシシギ

オオソリハシシギ(大橋弘一・諸角寿一著「日本野鳥写真大全」より)


■本日の話題その2   ホッチャレの物語
 ファウラ最新号の「サケ」特集の中で「ホッチャレ〜朽ちゆく姿の美しさ」というフォトエッセイが好評を博しています。秋がサケの遡上する季節と思われがちですが、実際には、秋から厳寒期までサケの遡上は続きますので、産卵後の力尽きた”ホッチャレ”の姿は初冬の今こそよく見られる季節です。
 「ホッチャレ〜朽ちゆく姿の美しさ」は執筆者の河井大輔氏が自らの体験談をエッセイにしたもので、初めてホッチャレを見た時の衝撃と、そこから命の循環について考えたことをつづった文章です。
 舞台は彼の自然観察フィールドである北海道のとある広葉樹林の中の流れ。そこで目にした累々と横たわるホッチャレに、薄気味悪さこそ感じたものの、河井さんはその姿に美しさを感じたと言います。この死骸がどのように他の多くの蟲魚禽獣の糧となるのか見てみたいと思い、河井さんはブラインドを張り観察を続けたそうです。ゆっくりと他の動物に食われていくのかと予想していたところ、キツネやタヌキやテンに早々に食い散らかされ、いずれかへ持ち去られてしまったそうです。しかし、残された死骸にはその後真っ黒になるほど蝿がたかり、そして蛆が大発生すると一転して真っ白になったといいます。そうした凄惨な口径には閉口したものの、それも束の間、ホッチャレは見る見るうちに骨片と化したそうです。
 話はまだまだ続きますので、興味のある方は是非今発売中のファウラ秋号「サケ」特集をお読みいただきたいと思います。海の栄養を森や川に還元する存在がサケであり、その実像はホッチャレを見てこそ知ることができます。サケを通して森と海とはつながっていることをホッチャレの存在を介して我々が知ることができるのです。
 翻って私たち人間の所業を顧みると、回遊してくるサケを飽食した挙句「ゴミ」として貶め、聖なる自然の生命の循環にまったく参加しようとはしません。こうした現実を気づかせてくれるのも、ホッチャレの存在なのかもしれません。

fauraP34〜P35

河井大輔氏の執筆による「ホッチャレ〜朽ちゆく姿の美しさ」(ファウラ2008秋号より)


■本日の話題その3   「散歩で楽しむ野鳥の本」のカルガモの項
 私の最新著書、11月5日に発売になった「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊) から、今週はカルガモをご紹介させていただきました。併せて、淡水ガモ類(水面採餌型カモ)と海ガモ類(潜水採餌型カモ)、アイサ類といったカモ類の基本的な分類についての基礎知識についてご説明しました。
 今後もしばらくの間、今の季節に良く見られる野鳥・カモ類について「散歩で楽しむ野鳥の本」をテキストにして毎週ご紹介したいと思います。お楽しみに。

散歩で楽しむ野鳥の本カルガモ

大橋弘一の最新著書「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と溪谷社刊・税込み1,890円)のカルモのページ



■ インフォメーション
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http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009秋号(特集:サケ)、ただいま道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/

・ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。

■今日ON AIRした音楽
       来生たかお
・Goodbye Day
・シルエットロマンス
・セカンド・ラブ
・夢の途中
・夢より遠くへ

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

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野鳥写真家&自然雑誌faura編集長の大橋弘一が自然や環境について語ります。FMアップルの番組「不思議いっぱいネイチャーワールド」の内容を伝えるブログでしたが、放送休止中の今もこのブログは継続します。