2009年3月24日の放送

■本日の話題その1    ゼフィルスの楽しみ方?標本作り
 ただいま好評発売中のファウラ春号(通巻第23号)「ゼフィルス」特集に掲載の記事から、「ゼフィルス」の名さえ知らないというあなたに、その楽しみ方をお知らせしましょう。筋金入りの”ゼフィリスト”この道50年以上というベテラン樋口勝久さんに語っていただきました。蝶屋さんなら誰でも知っている事柄ではありますが、この世界を知らない我々一般にはまさに「驚きの世界」です。
 まず、標本を作るためには目的の蝶を採取しなければなりません。ゼフィルスは林冠つまり森の木々の上にいる蝶ですから、取るだけでも大変です。普通の捕虫網では役に立たず、なんと5mもある長竿を使うそうです。最近はこの分野もカーボンなど軽くて丈夫な材質のものが出回っているようですが、通電性のある材質のものは高圧電線に触れないように注意が必要です。実際、感電して大変危険な目に合った蝶屋さんもいるとかいないとか。
 話が脱線しました。そうやって苦労して捕えた蝶も、翅が傷んでいることが多く、きれいな標本を作ることはこういうやり方では難しいといいます。さて、ではどうするか。

faura23号表紙

「ゼフィルス特集」ファウラ2009春号


■本日の話題その2     ゼフィルスの楽しみ方?標本作り 続き
 究極的にきれいな標本を作るには、羽化したての個体を捕えればいいということになります。ということは、羽化しそうな蛹を見つけ、その前で待つという方法に思い至ります。しかし、蛹を見つけ出すのはなかなか難しいでしょう。見つけても、いつ羽化するのか、そのタイミングにその場にいられるのか。いろいろな困難が予想されます。
 そこで蝶屋さんたちが実際に行っている方法は、そのもっと前の段階つまり卵の段階で採集し、自宅で育てる方法だそうです。ゼフィルスが卵である時期は冬。越冬卵を冬の間にたくさん採取することが一般的なゼフィルスの楽しみ方なのだそうです。
 これを行うには彼らがどこに卵を産んでいるのかをまず知ること。ゼフィルスの卵は大きいものでも直径1mm足らず。それが気の枝元などに隠すように産卵されているのですが、素人には無理ですね。蝶をとことん知っておかなければできない所業です。でも実際、樋口さんをはじめ皆さん大変楽しくこの「冬の昆虫採集」を楽しんでいるのだそう。
 ただし、自然状態では厳寒期を過ごしている卵ですから、できるだけそれを再現することが成功の秘訣。樋口さんは自宅の書斎に専用の冷蔵庫を持っていて、枝ごとにフィルムケースに入れ、種名はもちろん、採取日時や採取場所等を記載して整理して保管しています。そして…

faura23号P36〜P37

ファウラ23号・“ゼフィリスト”樋口勝久さんの標本作りの方法を紹介したページ

■ 本日の話題その2     ゼフィルスの楽しみ方?標本作り 続き
 卵が孵る時期になると、冷蔵庫から出して孵化させます。幼虫には食樹の葉を存分に与えます。蝶は食樹または食草といって、食べる植物が決まっています。このことさえ一般の方には意外と知られていないようですが。ひとくちにゼフィルスといっても種によって食樹は異なります。多いのはカシワやミズナラなどブナ科ですが、ほかにも色々で、種による食樹を熟知していなければこの趣味は務まりません。樋口さんはご自宅の庭に、ミズナラ、カシワはもちろん、ハンノキ、ブナなどたくさんのゼフィルスたちのための樹木を植えています。山へ行って取ってくればいいのかと思っていましたが、それでは間に合わないそうです。年に100匹以上の幼虫を育てるとなるとやはり自宅に木がないと無理だそうです。
 このようにして手塩にかけて育て、やがて蛹になる日を待ちます。そして羽化。羽化したばかりの全く傷んでいない成虫を、こんどは冷凍庫へ。これで美しいまま蝶は死にます。そして完璧にきれいな状態の標本になるのです。
 いやはや。この世界を知らない者(私も取材するまで知りませんでした)には、驚くべき世界なのですね。ゼフィルスは。以上、ゼフィルスの美しい標本づくりのために必要なものは、専用の冷凍冷蔵庫と木が存分に植えられる庭、卵を見つけ出す眼力と経験、そして何より蝶の生態に熟知すること、であると思いました。


■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009春号(特集:魅惑のゼフィルス)は、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
    スターシップ
 「セーラ」
 「愛は止まらない」
 「シスコはロック・シティ」
 「ノーウェイアウト」  
 「グッド・ハート」 

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。
■なお「不思議いっぱいネイチャーワールド」は新年度、4月より毎週木曜日の午後4時からに時間変更となります。4月以降も引き続きご愛聴のほどお願い申し上げます。

2009年3月17日の放送

■本日の話題その1    蝶と蛾の区別
 先週、ファウラ春号(通巻第23号)「ゼフィルス」特集号が発売になり、書店や昆虫関係のショップで好評をいただいています。今週は全編そのゼフィルスにちなんだ話題をお送りしました。
 とはいえ、蝶好きには圧倒的人気のゼフィルスですが、虫や自然に縁のない方には「ゼフィルス」という言葉さえあまり知られていません。おまけに番組のパーソナリティー・福津京子さんは大の虫嫌いで、特に蝶が嫌いだそうです。どうやって蝶や虫に興味を持ってもらえるか、私にとっては試練の春号かもしれません。ゼフィルスそのものに親しんでいただく前に、ごくごく基礎的なところから蝶の話題に入っていきましょうか。
 まずは蝶と蛾の区別についてです。日本人は蝶と蛾を区別しますが、科学的分類ではこのふたつは区別できず、いずれも鱗翅目に属するものというだけです。ドイツ語やフランス語ではそもそも日本語の「蝶」もしくは「蛾」に相当する単語がなく、両者は同じ単語で表されるそうです。フランス語でパピヨンという語はよく「蝶」と訳されますが、じつは蛾のことも同じくパピヨンと呼ぶのです。
 しかし、英語では蝶を意味するバタフライと蛾を意味するモスという語がありますね。じつはこの両者の区別は明治期に英語圏の文化として入ってきた博物学の影響が強いと考えられるのです。イギリスでは中世以降、羊毛や毛織物が経済を支える重要な産業であり、その大切な商品である羊毛を食い荒らす害虫がモスつまり蛾だったのです。ちょっと似ていても、害をなさず、姿も美しい蝶をモスと区別するのは英国人にとっては当然のことだったのです。そういう価値観が英国流博物学にも当然反映されていて、それが日本にももたらされたというわけです。
 蝶と蛾を区別し、しかも蛾を不快なものと考える価値観は、日本人にとっては意外と日の浅いことなのかもしれないのです。なお、このような話は今回のファウラ春号19ページのコラムに詳しく述べています。

faura23号表紙

「ゼフィルス特集」ファウラ2009春号


■本日の話題その2    ゼフィルス特集制作ウラ話〜趣味というものの原点を思い出す
 今回のゼフィルス特集の制作の課程では蝶好きな方・ゼフィルス好きの方にいろいろとご協力をいただいたり、インタビューさせてもらったりしました。蝶といえば標本を作ることを唯一の楽しみにするマニアックな「冬彦さん」をイメージする方もいるかもしれませんが、実際に蝶の趣味を楽しんでいらっしゃる方々は、皆さん大変勉強家であり、集中してこの趣味に没頭する熱心な趣味人だということでした。
 そもそもこの分野はアマチュア研究者に支えられている世界のようで、アカデミックな研究機関よりもアマチュア研究者によって新種の発見などが多く行われていて、最先端の知見はアマチュアがもっていることも珍しくない世界のようです。
 そういう方々のこの趣味への傾倒ぶりを知るにつけ、「趣味」とは何かということを改めて考えさせられました。趣味とは、元来、寝食を惜しんで熱中する対象のことだったのではないかということです。全精力を傾けて熱中するに値するものごと。それが趣味の本来の姿なのではないかということです。
 思えば、私自身、中学生か高校生の頃には趣味というものはそういうものだと思っていくつかのことに熱中していました。一方では学生の本分として勉強というものがあったわけですが、勉強は義務としてやらされていることという感覚でとらえていました。それに対して趣味は自発的に取り組む自分の好きなことであり、いやいややらされる勉強とは正反対の位置付けにある価値ある行動でした。
 だから、世間で言われる「趣味ていど」などという言われ方には今でも反発を感じます。
 ともあれ、「蝶屋」さんたちの熱き蝶への情熱をひしひしと感じたことが今号の制作の一番大きなウラ話です。皆さんそういう趣味への強い思いが小中学生の頃に感じたときめきに端を発しており、何十年もその思いを持ち続けているわけです。こういうことってとても大切なことのように思います。
 

■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009春号(特集:魅惑のゼフィルス)は、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
    日本の曲アラカルト
 麗美「青春のリグレット」
 萩原健一「大阪で生まれた女」
 上田正樹「悲しい色やね」
 よしだたくろう&かまやつひろし「シンシア」   

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2009年3月10日の放送

■本日の話題その1    タンチョウだけが感染しなければいいのか?
 先日の新聞に「タンチョウ、感染の危機」という記事がありました。何のことかと思ったら、阿寒のタンチョウ給餌場に最近オオハクチョウが来ているというニュース。つまり、オオハクチョウといえば鳥インフルエンザだと決めつけているような論調で、タンチョウが鳥インフルに感染したら大変だ!というのです。確かに昨年野付半島で鳥インフルに感染したオオハクチョウが見つかり話題になりました。また、タンチョウといえば大正時代以来たくさんの人々の血のにじむような努力で保護増殖が図られ、ようやく1000羽規模にまできたということも周知の事実です。もしここでタンチョウが感染したら人々の努力が水泡に帰すと懸念されているとのことです。
 しかし、どうもこの記事には、ものごとを一面からしか見ていないようで、割り切れない思いがします。オオハクチョウがタンチョウの餌場に来るようになったのは、各地で行われている白鳥への観光餌付けが見直された時期と一致し、それが原因であろうということです。野生動物への餌付けの是非が問われる時代、とんだとばっちりを受けているのはオオハクチョウですよね。人々の勝手で餌付けされ続け、今度はそれがやはり人の都合で打ち切られ、さらにオオハクチョウといえばイコール鳥インフルだというような決め付け。タンチョウも、オオハクチョウも、人の都合で人によって翻弄されつづけているのです。
 鳥インフルの脅威はもちろん否定するものではありません。しかし、オオハクチョウだけが悪者扱いされるのもあまりにも短絡過ぎます。タンチョウも、いつまでもガラス張りの箱入り娘状態でいいのかどうかも議論のあるところでしょう。オオハクチョウをタンチョウ給餌場から追い払えばいいという問題ではないと思います。
 タンチョウと、オオハクチョウと、鳥インフルと、餌付け。これらを総合的に見る広い視野をもった議論がなされるべきだと思います。


■本日の話題その2    ファウラ春号、発売
 本日3月10日、ファウラ春号が発売になりました。特集は「魅惑のゼフィルス」。人気のミドリシジミ類を、ファウラ初の昆虫特集として取り上げました。
 とはいっても、「ゼフィルス」という言葉さえ知らないという方も多いようです。番組パーソナリティーの福津京子さんがまさにそれ。しかも福津さんは大の昆虫嫌い。どうやって今回のファウラを福津さんに気に入ってもらうか。そんな気持ちでこれからしはばらくの間、毎週ゼフィルスの実力を少しずつファウラから拾ってご紹介したいと思います。
 まず、ゼフィルスとは、ミドリシジミ類の昔の属名です。ギリシャ神話の「西風の精」を意味するゼフュロスという語を属名として戴いた蝶の仲間。緑色や青色に輝く構造色が特徴のシジミチョウのグループですが、科学的な分類には既に使われなくなっている語であるにもかかわらず、その美しい響きから、今でも蝶愛好家たちからゼフィルスと呼ばれています。この言葉の雑学から入っていきましょうか。

faura23号表紙

発売になったぱかりのファウラ春号

■本日の話題その3    前項の続き ゼフィルスとは…
 ギリシャ神話の西風の神・ゼフュロスの姿は多くの人が知っています。ルネッサンスの代表的絵画のひとつ、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」で、貝殻に乗ったヴィーナスに息を吹きかけている、あの男の神がそれです。ギリシャ神話では西風だけでなく、北風も南風も東風もそれぞれに神がいて、その中で西風の神ゼフュロスだけが温和な春のそよ風を象徴する善の神であるそうです。
 ラテン語のゼフュロスは、英語ではゼフィルス、フランス語でゼフィール、スペイン語でセフィーロとなり、そのいずれもが語感のよさから様々な商品名に使われています。一番有名なのが日産自動車のかつての花形スポーティセダン「セフィーロ」でしょう。井上陽水の「皆さーん、お元気ですかー」というCMで大人気でした。カワサキ・ゼファーというバイクの名車もあります。
 それから、ゼフィルスといえば手塚治虫の漫画。大の虫好きだった手塚治虫はなんとズバリ「ゼフィルス」という短編漫画を残しているのです。その内容や紙面の一部は今回のファウラで紹介しています。こんなことからでもゼフィルスに興味を持つ方がいればうれしいなと思います。
 ゼフィルスという蝶そのもののご紹介は次週から…

faura23号P30〜P31

ゼフィルスの雑学が紹介されているファウラ・ゼフィルス特集

■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009春号(特集:魅惑のゼフィルス)は、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
    クリフ・リチャード
・ 恋はこれっきり
・ ヤング・ワン
・ コングラチュレーションズ
・ サマーホリデイ

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2009年3月3日の放送

■本日の話題その1  ドイツでは新車販売が絶好調なんですって!
 最近の新聞で一番びっくりしたニュースです。この世界的大不況の中で、ドイツでは新車が爆発的に売れているというのです。
 新聞によれば、ドイツもご多聞にもれず自動車業界は販売不振にあえいでいましたが、1月半ばにドイツ政府が「環境報奨金」制度を打ち出し施行したところ、新車購入に多くの人が殺到しているそうです。この「環境報奨金」というのは、発売から9年以上経った車を環境対策車に買い換える場合に限り、日本円換算で約31万円を補助するというもの。60万台分1,860億円分の予算ワクの時限立法で、予算がなくなり次第終了する制度なので、それなら今のうちに、と思う人が多いのでしょう。ともあれ、この制度のお陰で新車登録台数が前年同月比10%アップになり、これは2月としては20年ぶりの高い水準だそうです。さらに、国が出す報奨金と同額の値引きサービスを決めたフォルクスワーゲンの場合、売上げは前年同月比30%増で過去最高記録だとか。
 環境対策と景気対策を両立させてしまうなんて、本当に素晴らしい政策ですね。しかも、総予算は1,860億円ですから、どこかの国の「定額給付金」の総予算2兆円の10分の1以下です。
 ちょっとしたアイデアというのか、国民が何を求めているのか、的確に把握して実施すること。ドイツのこういう施策には学ぶところが多いのではないでしょうか。


■本日の話題その2  生物多様性を守るための動きが続々
 先週ご紹介した「ブルーリスト改訂へ」というのもそうですが、最近、生物多様性を守るための施策が次々に出てきています。
 環境省は、今、国内の生物多様性の現状を評価する指標づくりに取り組んでいます。その報告書が今月中に出来上がる予定だそうです。この指標づくりは、昨年末に発足した「生物多様性総合評価検討委員会」によって行なわれており、どんな内容の報告が上がってくるのか、楽しみです。
 一方、民間でも生物多様性を評価する制度がスタートしています。日本生態系協会が行なっている生物多様性への影響評価のための認証制度で、今年年初からスタートしました。企業の再開発事業について、在来の生物がどう守られているかを5段階評価するものだそうです。詳細な内容は私もまだ把握していませんが、こうした制度ができること自体、これまでなかったことですから、画期的です。
 今、地球温暖化とならぶ最も重要な環境対策として、生物多様性の保持はとても大きな意味を持っています。外来種対策をはじめ、今後の動きに是非注目していきたいものです。


■本日の話題その3 「虫と人と環境と」より昆虫食文化について
 私の最近のおすすめ新刊本・岩佐光啓著「虫と人と環境と」から、今日もとても面白い話題をひとつ。タイには昆虫を食べる文化があり、著者の岩佐さんがタイを訪れたところ、実際たくさんの種類の昆虫が市場を賑わしていたそうです。コオロギ、 タガメ、ガの幼虫、カイコの蛹などなど。現地の人に聞いてみると、昆虫を食べる理由は「おいしいから」だそうです。昆虫はタンパク質や脂質に富み、栄養価の高い食品だそうです。
 翻って、日本をはじめ西欧諸国などいわゆる先進国では「昆虫嫌い」が進んでいます。昆虫はいわれにない差別と偏見を向けられている生物だと言えるでしょう。地球は今、人口問題を抱え、食糧難の時代がすぐそこまで来ています。その対策として、既にタイではガの幼虫を食糧用に大量増殖させるための技術開発プロジェクトも発足したそうです。「昆虫に対する偏見のない文化」が食糧問題と環境問題の解決のカギかもしれない、と岩佐さんは述べています。

虫と人と環境と

岩佐光啓著「虫と人と環境と」


■インフォメーション
・ 大橋弘一の新著「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細について、は書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。 直接ご購入いただくことができます。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
もちろん、全国の書店でもお求めになれます。
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009春号(特集:魅惑のゼフィルス)は、3月10日発売です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
    ハイファイセット
・卒業写真
・スカイレストラン
・冷たい雨
・中央フリーウェイ
・フィーリング

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2009年2月24日の放送

■本日の話題その1    道、ブルーリスト改訂へ
 2週間ほど前に新聞報道された話題です。道は、新年度から北海道のブルーリストを改訂する検討に着手するそうです。ブルーリストというのは、レッドリスト(絶滅が危惧される生物のリスト)に対しての名前で、つまり外来種のリストです。リストには806種が掲載されているそうで、環境への悪影響が大きいものから順にA-1「緊急に防除すべき種」、A-2「防除を検討すべき種」、A−3「生態系への影響が懸念される種」と格付けされています。
 現在、A-1にはアライグマ、ウチダザリガニ、セイヨウオオマルハナバチ、ブラウントラウト、ブルーギル、ミンクの6種がリストアップされています。今回、改訂に向けて特に調査の比重が置かれるのがA-2ランクの23種で、これらからA-1に格上げされる見通しなのがアカミミガメやオオハンゴンソウなど。これらの生物の環境への悪影響はいまさら説明するまでもないと思いますが、同じA-2にはセイヨウタンポポやアメリカオニアザミなど広く定着してしまって駆除がもう手遅れと思われるものも含まれているそうで、こういった現実には駆除が難しい生物の扱いが焦点になりそう。
 北海道のブルーリストは2004年に策定されました。それ以来初めての見直しと再評価がいよいよ行われます。4月以降2年間かけて新たな防除計画を決める予定です。外来種問題は、生物多様性を脅かす重大な課題です。是非多くの種のA-1への格上げを期待したいものです。


■本日の話題その2    そろそろネコヤナギの季節ですね
 さて、2月の放送も今日で最後。来週はもう3月です。3月ともなれば春の訪れが少しずつ感じられる時期ですが、ちょうどこの頃芽吹き始めるネコヤナギについて、ご紹介しましょう。
 「広辞苑」には、ネコヤナギとは「カワヤナギの季節的な愛称。花穂の銀毛が猫を思わせるのでいう」と書かれています。つまり、ネコヤナギというのは樹木の種名ではなく、早春の花芽の時期だけの愛称とでも理解すべきだということでしょうか。しかし、図鑑などで調べると、ネコヤナギは「ヤナギ科の落葉樹で高さ約3mほどになる」「雌雄異株」「花芽は紡錘状卵型で、長さ8〜17mm」「花芽には灰白色の絹毛がある」などという説明が書かれています。つまり、ネコヤナギという和名の樹種があるのです。じつは、科学的に言えばネコヤナギとは、北海道にも自生するヤナギの1種のれっきとした種名です。
 しかし一般には、灰白色の絹毛の花芽が「猫柳」と呼ばれるものを象徴しています。猫柳とは、ひとつの樹種の和名というよりも、広辞苑のような解釈か、あるいは銀鼠色に輝くふわふわの毛に包まれた柳の花芽のことを指すと思っている方も多いことでしょう。いずれにせよ、銀白色の花芽こそネコヤナギの代名詞ともいえる季節の風物詩であることは間違いありません。冬の間は赤茶色の芽鱗に固く覆われていたものが、その芽鱗の帽子を脱ぎ捨てると猫の毛のような花芽が現れる…。この風情はやっぱりとても春らしいものに思えます。
 ちょっとだけ自然科学としてのご紹介をしておきますと、北海道に自生するヤナギ科の樹木は20種ほど。ケショウヤナギ、オオバヤナギ、バッコヤナギ、キツネヤナギ、カワヤナギ、オノエヤナギ、シロヤナギなどです。中にはミネヤナギやエゾノタカネヤナギなど高山植物も含まれています。ひとくちにヤナギの仲間とはいっても川の近くにあるものばかりではないのです。
 また、古くから親しまれている木でも必ずしも自然のものとは限りません。外国から来た外来種であるケースも多く、ヤナギ科では、ただヤナギと言った時にイメージする方の多いシダレヤナギがその好例で、これは中国原産です。また、北海道でなじみ深いポプラもヤナギ科。北大構内などで見られる大きな立派な木もヤナギかと思うと意外に感じますが、ポプラは和名をセイヨウハコヤナギといい、ヨーロッパや西アジアが原産地です。
 なお、ネコヤナギに関しては、札幌市の公式観光サイト「ようこそさっぽろ」の中の私の連載「札幌の自然を楽しむ」3月号に書きました。是非見てみてください。

ネコヤナギ
 
春を告げるネコヤナギの花芽。(撮影:大橋弘一)


■本日の話題その3   「散歩で楽しむ野鳥の本」から、アオサギのご紹介
 3月に入り春めいてくると、北海道にも早い夏鳥が訪れる時期が近づきます。野の鳥で一番早い夏鳥はヒバリですが、水辺の鳥ではアオサギでしょう。
 今日の放送では、久しぶりに私の最新著書「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と渓谷社・2008年11月刊)から、アオサギについてご紹介しました。アオサギについて詳しく知りたい方は是非「散歩で楽しむ野鳥の本」を見ていただきたいのですが、ひとつだけ、この本に載っていないアオサギのエピソードを。
 よく、水辺にたたずむアオサギを見た人が、「ツルがいたツルがいた…」と勘違いすると聞きます。それほどアオサギが大きい鳥だということです。確かにサギ類としては日本最大のアオサギですが、ツルつまりタンチョウにはかないません。アオサギは全長93cmほどですが、タンチョウは140cm。翼開長(翼を広げた幅)はアオサギ160cmに対してタンチョウ230cm。日本最大の鳥タンチョウはアオサギよりもずっと大きな鳥なのです。

散歩で楽しむ野鳥の本

私の最新著書「散歩で楽しむ野鳥の本」(山と渓谷社)


■ インフォメーション
・大橋弘一の新しい著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009冬号(特集:北国の冬を生きる〜珠玉のネイチャーフォト30選)、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
       チープ・トリック
・今夜は帰さない
・サレンダー
・永遠の愛の炎
・ドリームポリス
・甘い罠

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

HOME |

Calendar

PREV≪  2009-03  ≫NEXT
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

Advertisements


野鳥写真家&自然雑誌faura編集長の大橋弘一が自然や環境について語ります。FMアップルの番組「不思議いっぱいネイチャーワールド」の内容を伝えるブログでしたが、放送休止中の今もこのブログは継続します。