2009年4月23日の放送

■本日の話題その1    ミズバショウの話題が聞こえてくる中で
 今年はずっと暖かい気候が続いたせいか、北海道各地でいろいろな花の開花が平年よりだいぶ早めに進んでいるようです。中でもミズバショウは例年より10日から2週間ほども早いかんじですね。番組でいつも自然情報をお知らせしている西岡公園でも先週の時点ですでにだいぶ開花が進んでいるという話でした。
 そんな中、新聞にサロマ湖の近くの群生地でもミズバショウが見頃という記事が載っていましたが、その記事の文中にどうしても気になる表現を見つけてしまいました。「親指ほどの花弁に10〜15cmの白い葉をまとったミズバショウ」と書かれていたのです。「親指ほどの花弁」とはいったい何のことでしょうか。察するところ「親指ほど」なのはいわゆる軸のことかと思いますが、であれば「花序」正確には「肉穂(にくすい)花序」です。そもそも花弁というのはいわゆる花びらのことであり、ミズバショウには花弁はありません。また、「白い葉」というのも妙な表現ですね。これは「苞」のことでしょう。だいぶ一般化している「仏炎苞」という語をここでは使って欲しかったと思います。もっとも、苞は葉が変化したものですから、そういう意味では葉という見方もできることはできますが…。いずれにしても公共性が高く影響力の強い新聞というマス媒体としてはあまりにもお粗末な表現だと感じ、がっかりしました。何も間違い探しをしているわけではありませんが、正確かつ適切な表現を新聞各紙には期待したいものです。

faura15号P54

ミズバショウ群落。花の真中は「肉穂(にくすい)花序」、白い部分は「仏炎苞」だ(ファウラ15号「ホッカイドウテキ小自然ノススメ」より・長万部町にて・撮影:大橋弘一)


■本日の話題その2     ウドの話
 もうひとつ、植物の話題です。
 先日の新聞に今が旬の食材としてウドが紹介されていました。今、光を当てずに栽培されたいわゆる「白ウド」が確かにスーパーなどでもたくさん売られています。野生のものや路地栽培のものは「山ウド」と呼ばれ、旬はもっとずっと後になります。
 ウドは、北海道でも大変なじみ深い植物で、山によく生えています。ウドはセリ目ウコギ科タラノキ属の多年草ですが、ウドといえば役に立たないものを示す「ウドの大木」という言葉があまりにも有名ですね。これはウドは若いうちは若芽や茎、葉が食用になるが大きく成長すると太くなるばかりで食べられず、しかも木材にも燃料にもならないことからできた言葉です。しかし、実際はウドは根茎が発汗・利尿作用のある漢方薬になり、また栄養成分としてはカリウムが豊富でマグネシウム、カルシウム、ビタミンC、食物繊維も含まれるということですから調理法次第で決して”役立たず”ではなくなるそうです。
 じつは、「ウドの大木」という言葉は、同じウコギ科タラノキ属のタラノキと比較されてできたのではないかと推測されます。タラノキは5mほどにもなる小高木で、「タラノメ」がウドの若芽と同様に山菜として人気が高いことは皆さんご存知のとおりです。しかしタラノキは大きく成長すると木材として小細工用に重宝され、樹皮は糖尿病の薬として用いられます。これに対してウドは…、と比較されたからこそ役に立たないことが際立ち必要以上に喧伝されてしまったのではないでしょうか。近縁の種ならではの損な役回りだと考えられるのです。


■ 本日の話題その2     ファウラ「ゼフィルス」特集にちなんで
 今発売中のファウラ2009春号は特集「魅惑のゼフィルス」。毎週、ゼフィルス(ミドリシジミ類)の面白エピソードをご紹介してきましたが、今回はゼフィルス(というより蝶全般かも)に関連する言葉をいろいろ考察してみます。
 まずは数え方。蝶は1頭2頭…と数えますね。つい1匹2匹…といいたくなってしまう人もいると思いますが、これは基本ということで覚えておきましょう。
 次に、ウラとオモテ。北海道のゼフィルスの例ではウラゴマダラシジミ、ウラキンシジミ、ウラナミアカシジミ、ウラミスジシジミなどの例があるように「裏」と名のつくものは多いです。しかし、翅を閉じてとまることの多い蝶においてはどちらが裏でどちらが表か、一般にはちょっと判断がつきかねる点ではないかと思います。あくまで翅を広げた標本になった時を基準にしていると考えればすぐわかるのですが…。
 それから、メタモルフォーゼ(独語)とエマージェンス(英語)。いずれもどこかで聞いたことのある外来語というイメージですが、どちらも「変態」を意味し、特にクライマックスつまり蛹から蝶になる瞬間のことを指します。いずれも美しい響きのある語ですね。
 あと、北海道に因む和名のゼフィルス。エゾミドリシジミはもちろんですが、定山渓に由来するジョウザンミドリシジミやアイヌ民族を意味するアイノミドリシジミもあります。良質な落葉広葉樹林が多い北海道は、こうした点から見てもゼフィルスの好生息地であることがわかります。

faura23号P20〜P21

ファウラ「ゼフィルス」特集の「北海道のゼフィルス全種図鑑」の最初のページ

■ インフォメーション
・大橋弘一の最新著書「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細については書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009春号(特集:魅惑のゼフィルス)は、道内の書店などで発売中です。 編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。
http://www.naturally.co.jp/faurashop/


■今日ON AIRした音楽
    アリス
 「遠くで汽笛を聞きながら」
 「冬の稲妻」
 「涙の誓い」
 「狂った果実」  
 「秋止符」 

■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週木曜日午後4時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2009年4月16日の放送

■本日の話題その1  桜の開花予想に関連しての雑感
 今季2度目の桜の開花予想が出たようで、札幌では5月1日に開花と予想されているそうです。平年より少し早いようですね。桜の開花を心待ちにしている人も多いことでしょう。
 先日の新聞に北海道の桜の名所のひとつ・函館の松前公園の開花予想について詳しく紹介されていました。ここの特徴は4月下旬の早咲きのものから始まって約一ヶ月間にわたって色々な品種が次から次へと咲くことだそうです。最も早咲きなのはオオヤマザクラで4月末の開花予想、それに続いてソメイヨシノが咲く…などとなっています。
 ちょっと気になったのは、記事の本文に早咲きのものとして「オオヤマザクラ」のことが書かれ、少し読み進むと北海道で一般的な桜として「エゾヤマザクラ」がある云々…と書かれていたことです。
ひとつの文章の中に「オオヤマザクラ」と「エゾヤマザクラ」が出てくるわけです。
 しかし「オオヤマザクラ」と「エゾヤマザクラ」は同一のものであり、「オオヤマザクラ」の別名が「エゾヤマザクラ」です。ですから、このように脈絡なく両方の名が出てきてしまうと、ご存じない読者の方はそれぞれ別のものだと誤解してしまうことでしょう。もしかすると、記者の方もこのことを知らずに書いたのでは…。
 新聞という公共性の高い媒体では、是非このような誤解を生じさせるような書き方は避けてもらいたいしものだと感じました。


■本日の話題その2 太陽光発電への追い風
 最近、新聞やテレビのニュースなどで太陽光発電への”追い風”がよく話題になりますね。国や市の助成制度が出来てきて、札幌市の場合ですと、一般住宅での設置費用250〜300万円に対して最大20万円が助成されるということです。それでも、初期投資が回収できるまで(いわゆる元が取れるまで)に
は25年ほどかかる計算になるとか。
 先日の新聞報道では、もっと進んでいるヨーロッパの事例が紹介されていました。スペイン・ポルトガルに続きスイスの一部でも、なんと住宅の新築の際には太陽光発電の設置が義務付けられるということです。使用電力の50%を太陽光発電でまかなわねばならないそうです。しかし、義務を課すからには行政の助成も充実していて、スイスの場合で設置費の10%を州が補助するそうです。そして買電価格単価が高いせいか、元を取るのに15年しかかからない計算になるとか。やはり、太陽光発電についてはヨーロッパは日本より進んでいますね。
 

■本日の話題その3 ファウラ・ゼフィルス特集より「蛹になるための大冒険」
 今発売中の自然雑誌ファウラはゼフィルス特集です。その中から今秋もひとつ、興味深い話題をご紹介します。
 ゼフィルスの幼虫は、それぞれ決まった食樹の葉を食べていますので、幼虫時代には木の上の方で過ごします。しかし、さらに成長すると、多くの種が地上の枯葉の裏などを選んで蛹になります。そのため木の幹を伝って地上へ降りるわけですが、この時が彼らにとっては鳥などの天敵に最もねらわれやすい大変危険な時です。
 その危険を回避するためか、ウラキンシジミというゼフィルスの場合は「パラシュート」作戦を展開します。つまり、葉を数枚身にまとってそれを落下傘のように使い一気に地上に飛び降りるのだそうです。とても面白い生態ですが、じつはこの方法には別の危険もあります。風まかせですから、どこに落ちるかわからず、川などに落ちてしまえばおぼれて命を落とします。アリの群れる中に落ちればたちまち食われてしまいます。落下傘作戦にも大変リスクがあるわけです。
 以上のお話はファウラ春号・ゼフィルス特集の中の「幼虫の落下傘作戦」として黒田哲さんがご紹介されています。黒田さんは他にも興味深いゼフィルスの生態をいろいろ書いてくださっていますので、是非ファウラ・ゼフィルス特集をご覧ください。

faura23号P34〜P35

ファウラ春号の黒田哲さん執筆のページ

■インフォメーション
・大橋弘一の新著「散歩で楽しむ野鳥の本」の詳細について、は書籍販売サイト「ファウラショップ+」をご覧下さい。 直接ご購入いただくことができます。
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もちろん、全国の書店でもお求めになれます。
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■今日ON AIRした音楽
  洋楽 アラカルト
・ナタリー・コール「ミスターメロディー」
・レイ・パーカーJr.「ウーマン・ニーズ・ラブ」
・パーシー・スレッジ「男が女を愛する時」
・ザ・ロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」
・ジャネット・ジャクソン「恋するティーン・エイジャー」


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で毎週木曜日午後4時00分からお送りしている1時間番組です。帯番組「アップル・スタイル」パーソナリティーの福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

2009年4月9日の放送

■本日の話題その1  小学館ウィークリーブック「日本の歳時記」完結!
 近況報告をひとつ。私は野鳥や自然の写真家としていろいろな仕事をしておりますが、昨年春から刊行が始まりました小学館のウィークリーブック「日本の歳時記」には野鳥の写真を度々提供させていただきました。元々1年間の予定で始まった週間百科ですので、この度最終号(4/7号)が発刊され、予定どおり完結致しました。最終号に私が提供した写真は「残る鴨」でした。
 この仕事では、一年間の写真提供を通して色々な俳句の世界に少し親しませてもらいました。自然科学とは異なる自然の見方に驚いたり感心したり、時には科学的にはちょっとヘンだぞ、と思うこともあったり、なかなか面白い体験でした。
 最終号(テーマは「晩春」)でも、私が写真を提供した「残る鴨」が4月10日前後の晩春の季語ということに、本州と北海道の季節感の違いを感じました。東京などではもうほとんどの鴨が北帰のために去り、そこにいる鴨は何かの事情で”残って”いるものだということ。これに対して、今、北海道ではカモ類の最も多く集まる季節を迎えています。ウトナイ湖や宮島沼ではこの時期がまさに最盛期ですし、道北のクッチャロ湖などでは5月までまだ姿が見られます。東京とは一ヶ月以上の季節のズレがありますね。
 また、この時期の季語に「呼子鳥」というのがあるそうで、これはツツドリのことだ、カッコウのことだ、ウグイスのことだなどと諸説はあるものの結局は空想季語だそうです。この説明の中にある「ツツドリは親がツツツと鳴くと子が寄ってくる」などという珍説?にはたまげました。ツツドリはツツツなどと鳴きませんし、そもそも托卵性の鳥ですから親が我が子を呼ぶことはありえません。科学的に見ればおかしな解釈ですが、昔の人はこのように想像をたくましくして俳句を詠んだのかな、などと妙に感心してしまいました。科学一辺倒ではなく、こんなふうに情緒的に自然の風物と付き合うことも楽しいものだろうと思います。

日本の歳時記50

小学館ウィークリー百科「日本の歳時記」最終号


■本日の話題その2 ゼフィルスの趣味の実際
 今発売中の自然雑誌ファウラはゼフィルス特集です。その中からいよいよゼフィルスを楽しむ趣味の
実際をご紹介しましょう。昆虫採集のゼフィルスの世界ならではの「越冬卵の採集」の具体的方法をファウラで堀繁久さんが解説しています。
 まず、採集しようと思う場所にいるゼフィルスの種類を特定することです。次に、そのゼフが何を食べるのかを知ることです。例えばエゾミドリシジミやジョウザンミドリシジミだったらミズナラ、ミドリシジミならハンノキ、アイノミドリシジミはミズナラやカシワ…といった具合です。種ごとの食樹はファウラに詳しく情報が載っていますから、それを見ればバッチリです。
 そして、これらの樹木を、葉のついていない状態でも見分けられなければなりません。ついでに、目的のゼフがその樹木のどこに産卵するかを調べましょう。ジョウザンミドリシジミだったら冬芽の基部、オオミドリシジミは低い位置の枝、エゾミドリシジミなら比較的高い位置の枝…といった具合です。この情報についても春号ファウラに種ごと詳細に掲載してあります。
 ここまでできたら、いよいよ目的の木のある林へ出かけて探しますが、産卵場所は枝などの下側を見るのが鉄則ですし、何より母蝶の気持ちになってどこに産むのが安心か、考えながら探します。卵は大きいものでも直径1mmほどしかないミクロの世界なので、ルーペ(虫メガネ)は必須。なかなか大変そうに思いますが、一度要領をつかめば次々に見つかるそうです。
 今、春を迎えましたが、木々はまだ冬芽の状態ですね。葉が芽吹くまで1月弱でしょうか。今の時期は、ですから越冬卵を採集しても自宅の冷蔵庫に保管する必要はないでしょう。孵化するまですぐです。そういった意味で、越冬卵採集の入門には最も適した時期なのではないでしょうか(これは私の想像)。興味のある方、ファウラで情報を得て、是非チャレンジしてみてください。

faura23号P24〜P25

faura春号「越冬卵を探してみよう」は左ページ下の黄色いワク内・堀繁久さんが詳しく書いています


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■今日ON AIRした音楽
  さだまさし
・「案山子」
・「無縁坂」
・「道化師のソネット」
・「北の国から」
・「雨やどり」


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2009年4月2日の放送

■本日の話題その1  放送時間変更記念=野鳥の声当てクイズ!
 この番組は新年度の改編に伴い、木曜日の午後4時からの一時間に変更になりました。今日は記念すべきその第1回ということで、ちょっとお遊びをしてみました。
 札幌でもなじみ深い野鳥たちの声を録音でお聞きいただき、その声の主を当てていただこうという趣旨です。登場するのは今の季節にふさわしい鳥たちで、しかもとても身近な鳥たちばかり。番組では生息環境や色彩、姿形などについてのヒントをいろいろ差し上げながら番組パーソナリティー・福津京子さんに答えていただきました。ここでは出てきた鳥の種類と福津さんが正解したか否かだけ記しておきます。
    ? カワラヒワ   福津さん不正解
    ? ヒヨドリ     福津さん正解
    ? ハクセキレイ  福津さん正解
    ? ヒバリ     福津さん正解
    ? ツグミ     福津さん正解
    ? シジュウカラ  福津さん正解
    ? カイツブリ   福津さん正解

…ということで、福津さんの正答率は85.7%でした。100点満点に換算して86点といったところでしょうか。お見事でした。

シジュウカラ

今日の鳴き声当てクイズに登場した鳥のひとつシジュウカラ(大橋弘一写真集「鳥鳴山河」より)


■本日の話題その2 落葉広葉樹林の象徴・ゼフィルス
 今発売中の自然雑誌ファウラはゼフィルス特集です。その中からゼフィルスについてのあれこれ雑学知識を毎週のようにご紹介していますが、今週は「落葉広葉樹林とゼフィルスの関係」です。
 蝶は幼虫の時代に食べる植物が決まっており、その植物がなければ生きていけないことは自明の理です。北海道のゼフィルスは多くの種がミズナラやコナラ、カシワ、ブナなどブナ科の樹木を食樹にしています。ほかにハンノキやオニグルミ、エゾヤマザクラなどを食べる種もいますが、いずれも落葉広葉樹です。ゼフィルスは落葉広葉樹との結びつきがとても強い一群といえます。そして、落葉広葉樹といえば何といっても北海道です。北海道には冷温帯落葉広葉樹林がとてもたくさんあり、つまりゼフィルスたちにとって格好の生息場所であるといえるのです。かくして、北海道には日本のゼフィルス全25種のうち20種が生息しています。
 長い冬を卵で過ごしたゼフィルスたちは、食樹である広葉樹の春の芽吹きと時を同じくして卵が孵化し、幼虫は若葉を存分に食べて成長します。しかし、どうやって木々の芽吹きの時期を正確に知るのでしょうか。これには積算温度が大きな役割を果たしていると考えられますが、隣り合った同種の木でも芽吹きは数日ずれることもありますから、積算温度だけでは説明できません。ジョウザンミドリシジミというゼフィルスの場合、芽吹きの前後4日以内に卵はすべて孵化するそうです。孵化直前になると卵に小さな穴を開けるそうですから、その穴から芽吹きの具合を見ているのでしょうか?
 ゼフィルスの雌親が産卵する場所は種によってだいたい決まっていますが、枝に産卵する種の場合は必ず日陰の細い枝を選んでいるそうです。ゼフィルスは日向の葉は早く展開して早く硬くなってしまいます。成長した硬い葉は幼虫が食べられないので、できるだけ若葉の時期の長い日陰の場所を選んでいるのです。
 以上、ファウラ23号(2009春号)ゼフィルス特集の「広葉樹林とゼフィルスの素敵な関係」(堀繁久)から題材を拾ってご紹介しました。詳しく知りたい方は是非ファウラをご覧下さい。

faura23号P28〜P29

faura春号「広葉樹林とゼフィルスの素敵な関係」
堀繁久さんが詳しく書いています



■インフォメーション
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■今日ON AIRした音楽
  ビージーズ
・「マサチューセッツ」
・「愛はきらめきの中に」
・「哀愁のトラジディ」
・「失われた愛の世界」
・「メロディフェア」


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2009年3月31日の放送

■本日の話題その1  春一番に咲く花・ナニワズ
 北海道では雪融けとともにいろいろな花が咲き始めますが、中でも早いのがナニワズとフクジュソウです。特にナニワズはとても身近な花で、4月上〜中旬に郊外の林や森に出かければとてもよく目につきます。黄色い花が数個まとまってつく可憐な花で、香りもよいのですが、北海道では当たり前すぎてあまり見向きもされません。
 ナニワズはジンチョウゲ科の小低木で、自生地は日本海側では福井県より北、太平洋側で福島県より北といわれる北日本の花です。北海道にはとても多いです。
 ナニワズの北海道での平均開花日は、ある調査によれば4月7日で、フクジュソウが4月8日ですから、やはりフクジュソウよりも早く咲くといえます。
 ナニワズは落葉広葉樹ですが、落葉する時期は初夏。真夏にはすっかり裸木となってしまうため俗に「夏坊主」とも呼ばれます。夏には赤くぴかぴか光った実がなります。ルビーのように美しい実ですが、有毒で、昔アイヌの人々はこの実から採った液を毒矢に用いたといいます。
 初秋には新芽が芽吹き、秋がナニワズの新緑の季節です。そして、積雪の前にはつぼみが出来上がり、雪が融けたらいち早く咲いてやろうという準備をして冬を過ごすのです。なんともおかしな季節感で生きている面白い生態の花なのです。
 こんな変りダネの性質を知ると、この花への愛着がわくかもしれませんね。

faura23号P60〜P61

ナニワズをテーマにしたfaura春号「ホッカイドウテキ小自然ノススメ」


■本日の話題その2 ナニワズの語源
 ナニワズとは漢字では「難波津」と書きます。北日本の植物ですから大阪の地名が語源とは考えられず、なぜこのような名前になったのか興味がわきます。
 ナニワズは和名の語源が難解な植物のひとつとされていますが、古今和歌集の中にある「難波津の歌」にその由来があるという説があります。
      難波津に 咲くやこの花 冬ごもり
      今を春べと 咲くやこの花
                          王仁(古今和歌集)
 この歌は平安時代頃より、子供の手習いの初歩の教材とされたため知らぬ者のない有名な歌だそうです(現代人には知らない人が多いと思いますが…)。
 ここに歌われている「この花」とは梅を指しています。しかし、そんなことはわかってていても、雪深い北国の人が雪融けの大地にこの小さな黄色い花を見つけた時、春を迎えた喜びとして、誰でも知っているこの歌が思わず口をついて出てきた。
 北海道では梅が咲くのはまだまだ先です。とにかく、春一番に花を咲かせてくれるナニワズが、雪に閉ざされた長い冬を乗り越えた喜びを示すものになったのではないでしょうか。こうして、いつしかこの黄色い花をナニワズと呼ぶようになったのだと思えるのです。
 以上、今発売中のファウラ春号「ホッカイドウテキ小自然ノススメ〜ナニワズ」に書かれていることからご紹介しました。

faura23号P62〜P63

ナニワズをテーマにしたfaura春号「ホッカイドウテキ小自然ノススメ」後半


■本日の話題その3 ゼフィルスの楽しみ方・栗田貞多男さんの場合
 今発売中のファウラ春号(ゼフィルス特集)では、あの名著「ゼフィルスの森」の栗田貞多男さんにゼフィルスの撮影についてインタビューしました。
 栗田さんがゼフィルスに魅せられたきっかけは中学生の頃のゼフィルスとの出会いにあったそうですが、それから写真家となって「ゼフィルスの森」を作り上げるまでの詳しい経緯はファウラ春号の38ページからを是非お読みください。ゼフィルスを一冊の写真集にまとめようと思い立ったのが栗田さん33歳の時。それから撮影場所の選定、その場所の条件に適した機材の調達、そして撮影を行い、「ゼフィルスの森」が完成し発売された時には48歳になっていたということだけを、ここではお伝えしておきます。つまり「ゼフィルスの森」は都合15年かけて作られた写真集なのです。
 ゼフィルスは森の梢の上を飛ぶ蝶ですから撮影は困難で、難易度の高い被写体です。しかもその一番の特徴である青や緑色の輝きを撮るためには順光になるよう被写体の上から撮る必要があります。そのために栗田さんがやっている方法は車の屋根上に脚立を載せることだそうです。栗田さんの愛車は車高2メートルあるランクル。その屋根の上に3メートルもの高さの脚立を載せるのだそうです。普通はそんなに高い脚立はありませんが、栗田さんはリンゴ剪定用の脚立を入手し使っています。こうして計5メートルの地上高を確保し、その上に載ってゼフィルスの飛翔を待つのです。機材は6×6のフィルムカメラ。広角系のレンズをつけたハッセルを片手で持ち、もう片方の手は脚立をしっかりつかみます。ゼフィルスが現れたらファインダーものぞかずピント合わせもせずに連写します。特に卍巴(まんじともえ)飛翔の撮影にはマルチストロボによる連写でその動きを表現します。こうして撮影された作品群が「ゼフィルスの森」の表紙などを飾った一連の作品です。

faura23号P38〜P39

ファウラ春号「ゼフィルス」特集の中に掲載された栗田貞多男さんの撮影秘話


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■今日ON AIRした音楽
    日本の曲アラカルト
・クリエイション「ロンリーハート」
・安西マリア「涙の太陽」
・欧陽菲菲「雨の御堂筋」
・ヴィレッジ・シンガーズ「バラ色の雲」
・松原みき「真夜中のドア」


■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で毎週火曜日午前11時00分からお送りしてきましたが、新年度4月からは毎週木曜日午後4時からの1時間に変更になります。引き続き、ご愛聴のほどよろしくお願い申し上げます。
内容はこれまでと変わりません。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。

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