2008年10月14日の放送
- 2008-10-21
- 09:48
■本日の話題その1 北米産のサケが回遊する海は…
日本列島の川で生まれたサケの系統群ははるばるベーリング海・アラスカ湾を回遊することは以前にご紹介しました。その放送の時、対談相手の福津京子さんから素朴な質問が投げかけられました。「アメリカ生まれの系統群はどこの海を回遊するのか」という疑問です。日本のサケがアメリカの海まで行くのなら、反対にアメリカ生まれのサケは日本近海まで来ているのかと考えたようでした。私は魚類が専門ではなく、残念ながらこの質問に即答できませんでした。そもそも北米大陸の川で生まれる個体群がいるのかどうかさえわかりません。
この疑問に答えるべく、ファウラ秋号で取材させていただいた千歳サケのふるさと館の学芸員・菊池基弘さんに尋ねてみました。まず北米大陸生まれのサケがいるのかどうかについて。答えはYES。サケには、北米大陸、つまりカナダやアメリカの川で生まれる個体群もいるとのこと。次に、その個体群が回遊する海は…?
答えは、なんと「ベーリング海とアラスカ湾」でありました。日本産もユーラシア大陸産も北米大陸産も、サケの多くはベーリング海・アラスカ湾を回遊しているのだとのこと。つまり、サケにとってベーリング海・アラスカ湾は最も優れた餌場であり、日本からもい餌場を求めて何千キロもの旅をするようになたということでした。北米産の個体群は近場にそんなにいい餌場があるのにわざわざ遠くまでは行きませんよ、ということのようです。しかし、サケという魚種の起源は日本近海だそうです。なんとなく、日本産のサケを応援したくなってしまうような気がしました。それにしても、ベーリング海とアラスカ湾はそれほどの豊穣の海なのですね。
■本日の話題その2 サケ・マス文化論のこと
ファウラ秋号は「サケ」特集ですが、その中でネイチャーライターの河井大輔氏が「サケの文化史・神魚から大衆魚へ」という一文を書いています。この文から、今日の放送では古来サケがどのように扱われてきたかをお話ししました。要点を記してみましょう。
縄文時代の遺跡はサケの遡上河川沿いに集中しているそうです。縄文遺跡が東日本に多いのはサケ遡上が東〜北日本が中心だからと考えられます。一方、福岡県には鮭神社があり、サケは竜宮の使いとされ食用が禁じられていたそうで、東日本ではサケは重要な食糧だったのに対し、西日本では信仰の対象だったようです。稲作文化の弥生時代になると東西の勢力が逆転しますが、交通網の発達によってサケは乾魚や塩漬けとして流通されるようになったといいます。
時代は下って江戸時代になると、大名への贈答品から徐々に庶民の口にも入るようになっていったそうです。この頃の主産地は越後・越中・信濃でしたが、そうした産地では時代を追うごとにサケが大量に捕獲され漁獲高が減ってしまう現象が起きました。越後・村上藩では資源保護の目的で採卵・放流が行われ、これが世界初のサケの人工増殖となったそうです。
北海道では、アイヌのコタン(集落)はやはりサケ遡上河川の流域に作られ、サケの産卵場所と一致するといいます。縄文の人々と全く同じ現象が見られるわけです。これが、有名なサケ・マス文化論です。

ファウラ秋号・「神魚から大衆魚へ」(執筆・河井大輔)
■本日の話題その3 サケの生食はやはり危険
もうひとつ、サケの話題です。
「サケは寄生虫がいるから生で食べてはいけない」と言われます。その真偽はどうなのでしょうか。
サケにはアニサキスという寄生虫がいます。魚の寄生虫はいろいろありますが、アニサキスは人が食べると腹痛や嘔吐といった症状を引き起こすので、その害を防ぐためには必ず火を通して食べるのが最も安心です。冷凍しても死滅するようですが、少なくともマイナス20℃で24時間必要です。 もっとも、アニサキスはサケ以外にも、サバ、イカ、タラ、ホッケなどいろいろな魚に寄生していますので、サケだけに対して神経質になる必要はないでしょう。むしろ、魚を安易に生で食べないことが肝要です。
なお、ファウラにはアニサキスの予防法について、またそれ以外のサケの寄生虫について、もっと詳しく記述しています。関心のある方は是非ファウラ秋号をお読みください。

サケの寄生虫について書かれたファウラ21号のコラム
■ インフォメーション
・ 大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009秋号(特集:サケ)、ただいま道内の書店などで発売中です。
・編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・ ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。
■今日ON AIRした音楽
竹内まりや
・「駅」
・「恋の嵐」
・「元気を出して」
・「マージービートで唄わせて」
・「告白」
■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。
日本列島の川で生まれたサケの系統群ははるばるベーリング海・アラスカ湾を回遊することは以前にご紹介しました。その放送の時、対談相手の福津京子さんから素朴な質問が投げかけられました。「アメリカ生まれの系統群はどこの海を回遊するのか」という疑問です。日本のサケがアメリカの海まで行くのなら、反対にアメリカ生まれのサケは日本近海まで来ているのかと考えたようでした。私は魚類が専門ではなく、残念ながらこの質問に即答できませんでした。そもそも北米大陸の川で生まれる個体群がいるのかどうかさえわかりません。
この疑問に答えるべく、ファウラ秋号で取材させていただいた千歳サケのふるさと館の学芸員・菊池基弘さんに尋ねてみました。まず北米大陸生まれのサケがいるのかどうかについて。答えはYES。サケには、北米大陸、つまりカナダやアメリカの川で生まれる個体群もいるとのこと。次に、その個体群が回遊する海は…?
答えは、なんと「ベーリング海とアラスカ湾」でありました。日本産もユーラシア大陸産も北米大陸産も、サケの多くはベーリング海・アラスカ湾を回遊しているのだとのこと。つまり、サケにとってベーリング海・アラスカ湾は最も優れた餌場であり、日本からもい餌場を求めて何千キロもの旅をするようになたということでした。北米産の個体群は近場にそんなにいい餌場があるのにわざわざ遠くまでは行きませんよ、ということのようです。しかし、サケという魚種の起源は日本近海だそうです。なんとなく、日本産のサケを応援したくなってしまうような気がしました。それにしても、ベーリング海とアラスカ湾はそれほどの豊穣の海なのですね。
■本日の話題その2 サケ・マス文化論のこと
ファウラ秋号は「サケ」特集ですが、その中でネイチャーライターの河井大輔氏が「サケの文化史・神魚から大衆魚へ」という一文を書いています。この文から、今日の放送では古来サケがどのように扱われてきたかをお話ししました。要点を記してみましょう。
縄文時代の遺跡はサケの遡上河川沿いに集中しているそうです。縄文遺跡が東日本に多いのはサケ遡上が東〜北日本が中心だからと考えられます。一方、福岡県には鮭神社があり、サケは竜宮の使いとされ食用が禁じられていたそうで、東日本ではサケは重要な食糧だったのに対し、西日本では信仰の対象だったようです。稲作文化の弥生時代になると東西の勢力が逆転しますが、交通網の発達によってサケは乾魚や塩漬けとして流通されるようになったといいます。
時代は下って江戸時代になると、大名への贈答品から徐々に庶民の口にも入るようになっていったそうです。この頃の主産地は越後・越中・信濃でしたが、そうした産地では時代を追うごとにサケが大量に捕獲され漁獲高が減ってしまう現象が起きました。越後・村上藩では資源保護の目的で採卵・放流が行われ、これが世界初のサケの人工増殖となったそうです。
北海道では、アイヌのコタン(集落)はやはりサケ遡上河川の流域に作られ、サケの産卵場所と一致するといいます。縄文の人々と全く同じ現象が見られるわけです。これが、有名なサケ・マス文化論です。

ファウラ秋号・「神魚から大衆魚へ」(執筆・河井大輔)
■本日の話題その3 サケの生食はやはり危険
もうひとつ、サケの話題です。
「サケは寄生虫がいるから生で食べてはいけない」と言われます。その真偽はどうなのでしょうか。
サケにはアニサキスという寄生虫がいます。魚の寄生虫はいろいろありますが、アニサキスは人が食べると腹痛や嘔吐といった症状を引き起こすので、その害を防ぐためには必ず火を通して食べるのが最も安心です。冷凍しても死滅するようですが、少なくともマイナス20℃で24時間必要です。 もっとも、アニサキスはサケ以外にも、サバ、イカ、タラ、ホッケなどいろいろな魚に寄生していますので、サケだけに対して神経質になる必要はないでしょう。むしろ、魚を安易に生で食べないことが肝要です。
なお、ファウラにはアニサキスの予防法について、またそれ以外のサケの寄生虫について、もっと詳しく記述しています。関心のある方は是非ファウラ秋号をお読みください。

サケの寄生虫について書かれたファウラ21号のコラム
■ インフォメーション
・ 大橋弘一が編集長を務める北海道自然雑誌「ファウラ」2009秋号(特集:サケ)、ただいま道内の書店などで発売中です。
・編集発売元であるナチュラリーからの直接のお求めは書籍販売サイト「ファウラショップ+」へどうぞ。http://www.naturally.co.jp/faurashop/
・ ファウラ編集発売元である大橋弘一写真事務所「ナチュラリー」へのお問い合わせは、
0120-4646-13までどうぞ。
■今日ON AIRした音楽
竹内まりや
・「駅」
・「恋の嵐」
・「元気を出して」
・「マージービートで唄わせて」
・「告白」
■「不思議いっぱいネイチャーワールド」は札幌のコミュニティーFM局「FMアップル」(76.5MHz)で、毎週火曜日午前11時00分からお送りしている1時間番組です。パーソナリティー・福津京子さんを相手に、野鳥写真家であり自然雑誌ファウラ編集長でもある大橋弘一が野鳥や自然の話から地球環境まで、エコについて幅広いテーマでお話ししています。




